ミサワホームの渋谷展示場は日本で一番IoT機器が多い展示場だとお聞きしましたが・・・
守谷様
住宅展示場の中ではおそらく日本で一番だと思います。
昨年、当社が創立50周年を迎えるにあたり、50周年にかけて50種類のIoT機器を展示場で作動させる「connected(コネクティッド) 50@渋谷PJ(プロジェクト)」をスタートさせました。
昨年度は50個それぞれ単独で動かしていましたが、今年度は66個のIoT機器をそれぞれ連携させる試みをしています。多くのIoT機器を連携させることで、将来のIoT住宅の形をある程度再現したいと考えました。
渋谷展示場でスマートホームの検証を始めるきっかけが、産業技術総合研究所と共同受託したスマートホームの機能安全に関する国際標準規格作りだと伺いました。
守谷様
IoTが連携して動く世界では、予期せぬコンフリクト(衝突)が起こるリスクがあります。
IoT機器が増えれば増えるほど、機器同士の連携パターンも増えていく。そこに一定のルールを設けなければ、それぞれの機器は正しく動いているのに予期せぬことが起こり得るということです。
例えば、1つの事象に対して、ある機器からは「止まれ」、別の機器からは「進め」の指示が同時に送信されてしまうといったケースです。お互いに正しい指示を出しているのに、指示同士がコンフリクトを起こしている。このような現象を防ぐための国際標準規格を作ろうとするプロジェクトが経済産業省で生まれ、それを産業技術総合研究所(産総研)とミサワホーム総合研究所が共同で受託しました。
ミサワホーム総合研究所のミッションは、コンフリクトが発生し得るユースケースを集めることでした。その検証の場として渋谷展示場を活用し、いろいろな機器を連携したわけです。ここで集めたユースケースをもとに、現在、産総研が国際標準規格を作成しています。
どのような経緯でスマートマットをお知りになったのでしょうか?
守谷様
ミサワホームの主力商品に「蔵のある家」という住宅があります。「蔵」という大収納空間に季節のものや思い出の品などを入れておけるため人気の高い商品です。
私たちは、この「蔵」を災害備蓄倉庫としても活用できることを訴求しています。ただ、備蓄する水や食料がいざという時に切れていたら困りますので、「蔵」の中にある備品管理を、IoTで楽にできないか、ということが頭にありました。
そんな時に、IoTの展示会でスマートマットに出会いました。スマートマットを見たときに、課題を解決できるのではないかと直感的に思ったのです。
どのようにスマートマットをお使いになられているのでしょうか?
守谷様
弊社の渋谷展示場の「蔵」に置いて備蓄品の管理を行いました。
今後は、例えばコミュニケーションロボットと連携させて備蓄品の賞味期限をアナウンスしてもらうようなことが出来れば、より便利な活用法になると思います。
スマートマットに対する今後の要望はありますか?
守谷様
最終的には荷重センサーを家の一番下に置いて、家全体の重さを計ることができたら面白いなと考えています。家の中に人がいるとかいないとか、耐久性が落ちていないか、水漏れしていないかなど、ありとあらゆる家の情報が重さでわかる可能性が高いと思うからです。
もう一つは冷蔵庫の食品管理にスマートマットを生かせればいいと思います。または、調味料を入れる棚。しかし、コストの合わない部分をどうするか考えていかなければいけないですね。
薄いシートみたいな形のマットができるといいでしょう。シートひとつずつだとコストがかかるので集約して通信できるようにするとか、シートの中で区分けされているとか。
現状のものよりもっと小さくて、調味料を管理できるものがあったらいいですね。
スマートマットを活用した今後の展望を教えてください。
守谷様
家を買うタイミングやリフォームのタイミングで暮らしを豊かにするIoTサービスを紹介していきたいです。特に介護・見守り・健康などの価値創出のためにスマートマットなどの便利なIoTが必要となってきます。
家を買うタイミングでは在庫管理が必要ないと思っていても、暮らしていくうちに実際管理に困った体験があったりしたときに、こういう便利なものがあると知れば居住者が「価値のあるモノ」として捉えてくれやすくなると考えます。
人間には、ライフステージが変化するタイミングがあります。お子さんの入学や卒業、就職して家を出るといった、人生の転機のタイミングでリフォームや新しいサービスが打ち出しやすい。そのタイミングで、スマートマットを含めたいろいろなIoTサービスも紹介できるような体制ができたらいいなと考えています。